ドロー!ドロー!ドロー!


「2人とも、また1人で星の制圧に?」

自分の背を越してすっかりと逞しくなったカカロットとブロリーをきょとんと見上げる
昔はあんなに小さかったのに、と見上げる度に思っていることは内緒である。

「そっ!オラとブロリー、別々の星に行くことになってよ」
「この間もそうじゃなかったか?」
「…1人で十分だ」

チームなど不要。寧ろ足手まとい、と言いたげなブロリー。
対するカカロットも別に問題ないという風だった。

2人の強さは知っている。
下級戦士ながらもその能力はエリート戦士に劣っておらず、寧ろ勝っていた。
ブロリーは産まれたときから戦闘力は非常に高く、今も上がり続けている。
カカロットに至っては産まれたときは戦闘力はたったの2だったが、度々死にかけて帰ってくるおかげでぐんぐん戦闘力が上がっているのだ。
最近は以前より瀕死になる頻度は減ったものの、何度肝を冷やしたか知れない。

ただ問題はそこではなくて。
どうも、2人とも天然の気があるらしく、どうも危なっかしい。
としては、誰かサポートに付いて貰いたいところだった。

小さく溜息を吐くにカカロットが、ニカッと笑う。

「心配すんなって!今回行くとこは弱ぇ奴等ばっかの星って聞いてっからな」
「そう、か…」
「でよ、前回単独制圧のときオラたち同時帰還だったからさぁ…」

そこまで言われて、は嫌な予感がした。

「…待て。お前達、また…?!」
「今回こそ勝敗を決めようと思ってよ!」
「どっちのほうが早く戻って来られるか、見ていてくれ」

これだ。

同じ日に生まれた2人は、よく競争心を燃やすときがある。
カカロットの戦闘力がブロリーに近くなって来てからは、どちらが早く星を制圧して戻ってくるか、という勝負ばかりしている。
しかし、急いで制圧してくる、というのは不安になるもので、としては非常に止めてほしい。

「もうそれは止めろって言っただろう」
「だってまだ勝敗付いてねぇんだぞ!?」

惑星ベジータから距離がほぼ同じ星に制圧に行く時はいつもこれだった。
そして、毎回のように同じ時に還ってきて、いつもドロー。

「勝敗がつくまでやって良い約束だろ…?」

ブロリーの言う通りだ。
だが、ここまで引き分けが続くというのは、正直誤算だった。

「そうは、言ったけど、」
「なっ?だからさぁ」
「…何だってお前達はそう、競いたがるんだ…」

言うと、2人は顔を見合わせ、またこちらに顔を向ける。

「「何となく、負けたく(ない)(ねぇ)」」

そういえば、物心ついたときから2人は色々競っていた気がする。
身長だとか、舞空術だとか、水に何分顔をつけていられるか、等々ピンからキリまで。
数えたらキリがない。

良い始めると滅多なことがない限り折れるのことのない2人に、は肩を落とす。

「はぁ…。あんまり、怪我するんじゃないぞ」

このときの2人の表情と言ったら。









それが一週間前。

2人を見送ったのが2日前。
普段大雑把な2人だが、出発時間は律儀に合わせていた。
今日はその2人、カカロットとブロリーが帰ってくる予定日だった。

丸型宇宙船の着地点に足を運ぶと、顔見知りの兵士がいた。

「あぁ、今日カカロットとブロリーが帰って来るのか」

が来るときは2人が帰って来るとき。
もう知られるほど、何度も迎えに来ていた。

「予定、だけど」
「ははは。彼奴等も良くやるよなぁ」
「急いだって危ないだけなのに…」

小さく息を吐くと、兵士は苦笑を浮かべて言った。

「お前に良いところを見せたいんだろうさ」


「普通、バーダックとかパラガスにじゃないのか?」
「…お前な」

益々苦笑の色を濃くする兵士に首を傾げていると、報告が入った。
2つの宇宙船が近づいていると。
そろそろか、とたちは上を見上げた。
間もなくして、2つの宇宙船が惑星ベジータへ帰還した。










「オラとブロリーどっちのが早かった?!」

着地した宇宙船から勢いよく飛び出して来たのはカカロット。
次いでブロリーも宇宙船から出て来た。
怪我はないようだ、と安堵の息を吐きながらはカカロットを見上げる。

「面白いくらいに、」



――同時だったよ。



あからさまに肩を落として残念がるカカロットと、やはり落胆の色は隠せないらしいブロリー。
身体は大きくなったというのに中身は未だ子供のようだな、とは苦笑する。

「そう落ち込むな。怪我もそんなにないようだし…、良かったじゃないか」

にとっては怪我が少ないことが何よりなのだが、2人にとってはそうでもないらしい。
カカロットに至っては、口先を尖らせていた。

「1人で行ってその程度で済んだんだろ?充分凄いと思うけど」
「今日こそ勝てると思ったのによぉ」
「………」

聞いてないな。
仕方ないな、とは息を吐く。

「じゃあ、こうしよう」
「ん?なんだ?」

カカロットとブロリーがこちらに注目したことを確認して言う。

「うちに先に着いた方が勝ち」
「へ」
「うち、…とは、カカロットの家か」

はバーダックに拾われてからというもの、バーダックの家、つまりカカロットの家でもあるそこに住み着いていた。
既に数十年といるせいで、今ではそこにいて当然のように思われている。

「そ。ブロリー、今日晩ご飯食べて行くだろ?」
「…行く」
「だろ?丁度いいじゃないか」

な、とが言うと2人は顔を見合わせる。

「かけっこ、っちゅー奴か?」
「カカロットと、か」
「そ。私とじゃ勝敗わかりきってるだろ」

はサイヤ人じゃない。
戦闘に特化していない種族になら勝てるスペックだが、サイヤ人相手に競えば間違いなく負ける。

「勝ったら…そうだなー」

あ、とは言う。


「久しぶりに、今晩一緒に寝るか」


昔みたいに。


そう言ったに対し、きょとんとする2人。
それを見て、ふむ、と考える

「これだと私しか得しないか…じゃあ他の」



「それでいい!!」



「カカロット?」
「俺もそれで良い」
「ブロリーも」
「よぉし、これは負けねぇかんな」
「ふん、…お前に負けるわけがない」


子供のように闘争心を燃やす2人を見、言えばいつでも一緒に眠るのに、とは小さく笑う。
そういえば昔もどっちが一緒に寝るだの言って結局3人で寝てたことが良くあった。
懐かしいなぁ、と思い返しながらはスカウターを取り出し、通信スイッチを押す。

「そういうわけだから」
『…どういうわけだ』
「今からカカロットとブロリーが全速力で走って帰って来ると思うから」
『俺を巻き込むなよな』
「そういうなよ、ラディッツ。暇だろ?どっちが先に着くか見ておいてくれ」

ラディッツの深い溜息が聞こえて来た。
それを軽くスルーし、は2人に向き直る。


「よし、2人とも行くぞ。準備は良いな?用意、…ドン!」









結果はやっぱり引き分け。
その日は久しぶりに3人で寝ることになったのだった。





仲は良いと思うんだけどな  
朝方、器用にシエンを避けて足を押しつけ蹴り合う形で寝ている2人の姿が目撃されたとか、されなかったとか。


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あとがき

カカ&ブロ夢。日常の一コマでした。
IF設定ではカカとブロは幼なじみ兼ライバル。

2009.10.3 海葉月葵