三話 ――――――――――――――― 「君がちゃんかぁ…………なんや、どんな子かと思たら別嬪さんやん」 市丸がを品定めするようにマジマジと見ていた。 は、それを不快に思い眉を微妙にひそめた。 「……………私はお前を知らない」 「五番隊副隊長の市丸や。覚えとき。……………十一番隊の子もさっき見てきたけど…… ボク、ちゃんの方が好みやなぁ」 ここの副官なのか。 自分とは気が合わなさそうだ、とは思う。 を見てきたと言った。 そんなに私たちは珍しいものなのか? 「あらら………その顔やと、何で自分たちが有名なのか知らんみたいやなぁ」 「………知らない」 そんなに顔に出ていただろうか。 市丸の言葉に、は素直に答えた。 「せやったら………何でか、教えたろか?」 「…………」 「ま、えぇわ。いつか耳にするかもしれへんしな」 市丸は、を面白そうに見て言う。 「流魂街80地区出身にして主席合格」 は目を見開く。 「それだけ………?」 「それだけやあらへんよ。ちゃんは、二回生のときに鬼道のみで虚を倒しとる。 ちゃんかて、次席やろ?」 「……………くだらない……」 がボソリと言った。 正直な気持ちだ。 「くだらんことあらへんよ」 「くだらない。出身地など関係ない。80地区出身で主席がそんなにすごいことなのか?」 「すごいんとちゃう? 寧ろ、80地区で生き残ってるてことのほうがすごいんかもしれへんな。 ボクとしては、副隊長に向かってそんな口聞けるゆう方がすごいと思うわ」 これは正論だろう。 目上の者には、敬語が基本だ。 先ほどからは、市丸が副隊長であることを知っていながら敬語を使っていない。 端から見れば、かなり無謀である。 「そういう他の子と違うとこもまたえぇなぁ」 「………………………は?」 「うちに来ぃへん?」 市丸がと顔の高さを合わせて言う。 五番隊に異動しろ、と言うのか。 「それは私が決めることではありませんので」 「あらま……今頃、敬語使うん?」 「これが普通なのでしょう? 問題はないはずですが」 「………異動の希望は、こっちからでも出せるんやし……………」 「市丸」 天の助け、とも言うのか。 藍染と白哉がこの場へ帰ってきた。 2人の両手には結構な量の書類があった。 「えらい量ですなァ」 市丸が藍染たちの手にある書類を見ていった。 「そのために、こやつを連れて来たのだ」 白哉が言う。 普通に考えてそうだろうと、は思う。 「市丸、ダメじゃないか。くんは新入りなのに………………くん、うちの者がすまなかったね」 「……………いえ」 藍染が申し訳なさそうに言う。 こんな人が上司なのに、何であんな部下がいるのだとは密かに思う。 はっきり言うと、あの手のタイプは嫌いだ。 いくらでも自分の中に入ろうとしてくる。 ………………………………………………不快だ。 藍染は、に近づいて書類を差し出す。 「これが君の分なんだけど……………持てるかな?」 「平気です」 言って、は書類を受け取る。 ズシリと重さが伝わってくる。 本当に結構な量だ。 そんなに腕力があるわけではないのだが、このくらいなら何とか持てそうだ。 「大丈夫かい?」 「…………はい」 「なんや、対応の仕方にえらい差があるんとちゃう?」 市丸が微妙に不満げな声を出す。 はそんな市丸を一瞥し、白哉の近くへ寄る。 「では、失礼する」 言うと白哉は、スタスタと扉へ向かい五番隊詰め所から出ていった。 もそれについて出た。 2人を見送った後、藍染は短くため息を吐く。 「君は嫌われてしまったようだよ。変なことでも言ったんじゃないのかい?」 「そんなことあらへんよ。ちょっとお話してただけですて…………… でも、あの子えぇなぁ。ボク気に入ったわ」 「あんまり構うと本当に嫌われてしまうよ」 白哉について戻って来たのは、六番隊隊首室。 は白哉に言われた場所へ書類を置く。 「」 呼ばれてそちらを向く。 白哉手には数枚の書類。 「これを十三番隊に。出し終えたら上がっても良い」 「はい。では、失礼します」 書類を受け取ったは、一礼し詰め所を後にした。 廊下を歩きつつ、は外を眺める。 そして、ふと立ち止まる。 何を思ったか、天井を見上げる。 「屋根の上のほうが速い…………な」 ――――――――――――――― あとがき やっと書けた!! 市丸が出張ってますね; ヒロインちゃんは市丸がお気に召さなかったようです。 次はお分かりでしょうが、病弱らしいあの隊長が出ます。 (兄様はどうした) 乞うご期待。