五話
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「はぁ〜〜………やっぱ強いッスねー」





十一番隊鍛錬場でが床に突っ伏しながら言った。

の目の前には更木が立っていた。

つんつんとした黒髪の先に鈴をつけ、右目には眼帯と変わった格好をしている。

更木 剣八―――の所属する十一番隊の隊長である。

その周りには十一番隊の隊員であろう、目つきの悪い死神が居座っていた。



「当たり前ぇだ。隊長格が新入りに負けるわけねぇだろ」


「拍子抜けしないで済んだんで良かったッスよ」



は、肩で息をしながら言った。

ここで、何をしていたかと言うのは想像がつくであろう。

の手の中には木刀。

更木の手にも木刀が握られていた。

つまり、戦っていたのだ。

この鍛錬場で。



「でも凄いよ、ちゃんっ!」



やちるがひょこっと出てくる。

は、汗で顔に張り付いた髪を払いながらやちるを見る。



「新入りなのに凄いよー! ここで充分やってけるねっ!」


「はぁ………まぁ、更木隊長みたいな体格の奴ともやったことあったんで……」


「そういや、お前も80地区出身だったな」


「えぇ。更木隊長も何スか?」



が更木を見上げて言う。

答えたのはやちるだった。



「そだよー! 剣ちゃんも80地区出身なんだよ〜。あたしは79地区だけど」


「へぇ………そうなんスか……」



それなら、その外見で副隊長の座についてるのも納得がいく。

79地区も80地区ほどではないが酷い有様だ。








血一色の世界と言っても良い。



1人でいると狂ってしまいそうな感覚に襲われる。



気を抜けば、ただの肉の塊。



そんな世界だった。










「他の人たちは、こてんぱんにやられちゃったもんね〜」



言ってやちるは、鍛錬場にいる他の隊員たちを見やる。

十一番隊では、まず初めに隊長自ら新入りの実力を見る。

これは絶対のことでなく、更木がやりたいからやっていることだ。

代々受け継がれてきたものではない。




「育ち方が違う。そこらのチャラついた女よりはこっちのが良いと思うけどな」


「でないと、ここでやってけないよね〜」




やちるがケタケタと笑う。

はフゥと息を吐く。


チャラつく、だって?

そんな暇あるわけない。

そんなことをやっている暇があったら剣の修行をしていた方が良い。

性に合っている、というのもあるけど他にも理由がある。

早く強くなる、もっと、もっと強く。

あの子を守るために………………………。





「今日の仕事ってどうすれば?」


「あぁ? 仕事??」


「そういえば、書類が溜まってたねぇ」



は引きつった笑みを浮かべる。

まさかとは思ったのだが…………。



「デスク………ワーク………?」



更木は頭をガシガシと掻いて言う。



「溜めちまったもんは仕方ねぇ………………片づけるぞ」


「えぇーーーーーーーーー」


「文句言うな、やちる。おい、てめぇらも戻れ!!!!!」



更木は鍛錬場に来ている十一番隊隊員たちに命じた。

隊員たちは、更木の声に勢いよく返事をし、立ち上がった。

上司と部下の上下関係はちゃんと成り立っているようだ。



「、お前もだ」


「………はーい」



やっぱり、と言いたげな顔をしては返事をする。



腰に帯刀している刀が微か波動をに送る。

は苦笑して、刀を軽く握る。







「我慢、我慢。また、今度一緒に暴れようぜ……………………………夕血姫」






その言葉は更木たちには聞こえていない。

彼女の腰の斬魄刀だけが聞いていた。




















「あ、!」




詰め所に戻ろうと廊下を歩いていたが向こう側から来る彼女を見つけた。

彼女――――の手には書類があった。

十三番隊から六番隊へ戻る帰りだ。

に気付いたらしく、少し歩く速さを上げ近づいてきた。



「………」


「上手くいってっか?」


「………さぁ………は?」



はニッと笑う。



「あそこならやってけそう!……ん?これって書類?」



は頷く。

そう量はないので、負担にはならない。



「運ぶのだったら、楽そうだなぁ…………俺はこれからデスクワークだってさー」


「………………五番隊………じゃなかったら、この仕事は良いと思う」


「五番隊?」



が聞き返す。

その意味がよく分からなかったらしい。

は眉間に微妙に皺を寄せて言う。



「あそこの副官……………………嫌いだ」



は目を見開く。

珍しい、がはっきりと嫌悪を露わにしていることが。

何かあったのだろうか。



「のところにも行ったと言っていた」


「俺んとこ? どんな奴? その副隊長って」


「銀髪の………目の細い………関西弁の狐のような男だ」


「狐……………あ、あぁ!!! 来た!! あの短髪の奴だろ?! こっちにも来てた!」



思い出したように、手をポンッと叩きながらが言った。

確かにあの手の者相手だったら、そのの気持ちも理解できる。

あぁいう、チャラついたような奴が嫌いなのだ、は。



「何もされなかったか?」


「平気だ。それより………デスクワークじゃなかったのか?」


「あっっ……………そうだった………隊長に怒られる!!! じゃな、!!!!」



急ぎ走っていく背中を見送りながらは思う。

前もこんな別れ方だった気がする、と。




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あとがき
あーーー、書けた。やっとだよ、やっと。
でも、夢要素が少ないってどうよ?
頑張ります、次も頑張ります!!!