九話 ――――――――――――――― 真央霊術院付近。 1人の死神が上機嫌に詰め所へ向かっていた。 「頼むぜ〜、虚。今日出てくれよなー」 普通の死神なら言いそうにないことを良いながらは詰め所へ向かっていた。 今日はが非番。 一緒に行けることが嬉しくて気が抜けていたのかもしれない。 人が近づいているのがわからなかった。 ドンッ 尻餅はつかなかったが、顔面直撃してしまった。 「………ったぁ〜…………」 は手で顔を覆いながら、ぶつかった相手を見上げる。 身長は高い。 男で、どうやら院生のようだ。 長めの赤髪を後ろで一括りにした目つきの悪い男だ。 「あー………すみません、大丈夫ッスか?」 赤髪の院生がそう聞いてきた。 これは、おそらく自分が死覇装を着ているからであろう。 院生にとっては、死神は先輩に当たるのだから、当然のことだ。 別には気にしないから関係なのだが……。 「や、ぶつかったのこっちだし。足止めして悪かったな」 それが意外だったのか、院生は目を見開く。 少しそれが勘に障ったが、先を急ぎたいので適当に流すことにした。 「じゃあな」 言って、は院生の横を通り過ぎ、詰め所へ向かった。 それを呆然と見送っていた院生の肩を叩く者がいた。 「何をしておるのだ、恋次」 「あぁ? ルキアか」 肩を叩いたのは、黒髪の女の子でルキアと言う。 男に対してかなり、小柄である。 男の方の名は、阿散井 恋次。 ルキアと幼馴染みで同期だ。 「さっきのは死神か?」 「あぁ。でも、何か変わった感じの死神だった」 「変わった??」 ルキアが問うと、恋次はガリガリと頭を掻いて曖昧に言う。 「何か、イメージしてた死神と違ってた」 「おっはよーございまっす!!!!」 が勢いよく詰め所の扉を開き入ってきた。 それを見て、詰め所の柄の悪い死神たちが……… 「お早うございます!!! 姉御!!!!!!!!」 「おー! 揃ってんなー!!」 ――――― 官席にも入っていない、死神。 入隊して一ヶ月も満たぬ内に、十一番隊の平死神を舎弟に下した、少女。 「あ、ちゃん! おっはよー!」 「草鹿副隊長! おはようございます!」 は、にこりと笑って挨拶した。 やちるもにこーっと笑い返し、に両手を伸ばしてきた。 この行為は………… 「はいはい」 “抱っこ”だ。 今までに何度もあったので、身に付いてしまったのだ。 そのため、条件反射でやちるを抱き上げてしまう。 やちるは体重も軽いので、まったく苦にはならず程良い。 ちょっとした腕力を鍛えるためのトレーニングだと思えばいい。 「更木隊長のとこ行かなくて良いんスかー?」 「今はちゃんな気分っ」 言って、やちるはにくっつく。 は、でもこんなことはしなかったなーと思いながらやちるの頭を撫でた。 やちるはを見上げて言った。 「そういえば、ちゃんって今日は何かいつもより機嫌良くない?」 「ま、まぁ………」 「何か良いことあったの?!!」 「これからッスよ」 「ちゃん関係?」 「ははっ。分かります?」 「わかるよー! ちゃんって時々わかりやすいもん」 は軽く目を見開いた。 それは気付かなかった、と。 それをやちるは可笑しそうに、クスクスと笑う。 「自覚ないんだぁ〜。変なのーっ!」 「変ってどういう意味……『ピーピーピー…………!!』」 の言葉を遮るようにして、伝令神機が鳴る。 それを素早く手に取り、確認する。 やちるも伝令神機を覗き込む。 「虚…………」 「だねっ」 「っしゃあぁぁっっ!!!!!!!」 はやちるを支えていない方の腕をガッと握ってポーズを取る。 やちるは最初は驚きつつも、すぐにいつもの笑顔に戻った。 「それが良いこと?」 やちるはタンッとの腕から飛び降りる。 「それがないと始まらないんで!!」 は軽く笑って、その場を離れる。 やちるは、いってらっしゃーいっ!と手を振って見送った。 そのすぐ後に、更木が顔を出した。 「おい、さっき来てなかったか?」 「デートだって!」 「……………………………………………………………は?」 ――――――――――――――― あとがき 恋次登場!! ついでにルキアも!!(ぇ やちるがいっぱいです。だって書きやすいんだもの。 次回はちゃんと出す………出せるかな;; ダブルヒロインが確実に出ます。