十話
―――――――――――――――















「あーーー………何か呆気ねぇ……」









消えていく虚を見ながらが言った。


そのすぐ近くに立っていたは、すでに刀を鞘に収めていた。




「下級だったからな……仕方ないだろう」


「せめて、こういうときくらい巨大虚とかさぁー……………ちぇー」




はもの凄く不満そうに言った。

と一緒に来られたのは嬉しいが、やはり敵に手応えがないとつまらない。

隣のに至っては、そうでもないようだ。




「そう都合良くはならないものだ」


「俺的には、都合良くなってほしい」


「…………………」


「ん? どした?」




はあらぬ方を見て言った。




「今日は何かあるのか?」


「何かって?」


「気配がする。たくさんの…………死神の気配だ………霊圧は大したことないが……」




が気配の集まっている場所に気を集中させる。

は、しばらく手を顎に添えていたが、やがてポンッと手を叩いた。




「あ!! 今日は院生の実習日だった…………あぁ、今日だったのかー…」


「………院生の?」


「おぅ。だから、しばらくの間、魂葬は止められてたんだよ、この日のために。

  虚退治は絶対しろって言われてたけど……………でも、今のところ虚は大丈夫みてぇだし」




伝令神機を片手に奏が言う。

が、は眉を僅かに顰めた。





先ほどから、何か胸騒ぎがする。

確信はない。

第六感というやつだ。




「そうとも言えないだろう………もう少し居た方は良いと思う」


「あぁ、そのつもりだけど………とりあえず、院生が帰るまではいねぇとな」




口では、あぁ言ったがも感じていたらしい。











この何とも言えない胸騒ぎを。



嫌なものではない。



寧ろ、それを楽しいと感じてしまうだろう。


















そういう環境で育ってしまったから、忘れることはない。









あの、肉を切り裂くときの快感を。





















ピーピーピーピー…………





「お、早速か…………………………っ?!!!!!」




は大きく目を見開いた。

は何事かと、思い問うた。




「どうした」


「これ、見てみろよ!!!」




の声に焦りはない。

どっちかと言うと嬉しさに興奮しているような声だ。




の持つ伝令神機を見れば、虚の反応。




それも、かなりの数。







「だが、霊圧が感じない…………消せる、のか?」


「それだけの事が出来るんだ。大物だ!!!! 、行こうぜ!!」


「あぁ」






2人が地を一斉に蹴り、その場から飛ぶように移動した。

道は何かと障害物が多いので、屋根の上を移動していた。









「…………………………楽しそうだな」


「ん? とーぜんだろ。久々の大物だぜ?」


「小物ばかりだったのか?」


「あぁ。そのせいでこいつの機嫌が悪くなったままだった」




言って、は自分の腰にある斬魄刀を握る。

斬魄刀からも波動が伝わってくる。









――――早く斬らせろ、と。














ピーピーピー………




伝令神機だ。

だが、今回のは虚の反応ではなかった。

ただの通信だろう。




「こちら、十一番隊所属、  !!」


『、俺だ!!』


「更木隊長! 何かあったんスか?」




相手は更木だったらしい。

は何事か、と静かに成り行きを聞いていた。




『何かじゃねぇよ!! お前、今自分の担当区域にいるな?』


「あぁ、はい」


『救援要請が来た。現世定点1026番 北西2128地点で巨大虚が出たから、

  至急そこへ向かって始末してこい』


「はい、了解!」













もう、向かってるけどな。











巨大虚…………………悪くねぇな。






























「ひゃあ、こら大層な数やなァ」




言ったのは、短い銀髪の男。

その斜め前にいるのは茶の髪に眼鏡をかけた男だ。




「……待たせて済まない。救援に来たよ」




彼らの向かう先には、4人の院生たちがいた。



1人は負傷した黒髪の男の院生。

そして、赤い髪をした者と金髪の者。

最後に黒髪の女の子だ。





「あ…あぁ………あなた方は…!! 五番隊………藍染…隊長……!! 

  市丸…副隊長……!」





そう言った、院生の名は檜佐木 修兵。

彼が救援要請を出した、六回生筆頭の院生だ。

巨大虚によって、顔に怪我を負っていた。



藍染と市丸は彼らの方へ歩み寄った。







「……よく頑張ったね。怖かったろう、もう大丈夫だ」








言って藍染は院生の1人、雛森 桃の頭をその大きな手で撫でた。







「後は我々に任せて休んでいるといい」









藍染がそう言い、巨大虚らに歩み寄って行こうとしたところで、他の霊圧の気配が現れた。




虚のものではない霊圧。





数は、2。


















「おー、大漁!!」










少し低めの少女この声が響く。

皆一斉にそちらを見た。






そこにいたのは、鮮やかな真紅の目をした少女と凍てついた蒼の目をした少女だ。






その場にいた者の中に市丸がいるのを見て、は眉を顰める。

向こうは嬉しそうだが。






「どーも。藍染隊長、市丸副隊長。そいつら、俺らに任せてくれますか?」


「くん………だったね。来るならもう少し早い方が良かったな…」




藍染が優しく言うと、は近づいてくる。

もその後に続く。




「隊長たちと似たようなもんじゃないッスか。それに一応、ここ俺のテリトリーなんで」


「そうやったんや? にしては、到着が遅いんとちゃう?」


「他の虚、始末してたんスよ。そいつらは俺の獲物です。隊長たちは退いててくださいませんか」




一応、敬語を使ってはいるが、さっさと退けろと言う気持ちが剥き出しになっていた。

藍染は言っても聞かないと判断し、何歩か下がる。




「こいつも暴れたがってるんで。」


「?」


「あいつ……」




言って、は親指をある人物に向ける。

指の先にいるのは檜佐木だ。

の意図を察し、は一つ頷く。





「………分かった」







それを確認し、は両手をボキボキと鳴らす。

真紅のその目は、もう巨大虚しか映っていたかった。














「さぁて、ショータイムの始まりだ」





―――――――――――――――
あとがき

書きました!! やっと!
久々だったのでちょっと長めに……

ヒロイン2の言った「こいつ」とは斬魄刀のことです!
戦闘開始ー! 一気にキャラ出しちゃいました;;