十一話 ――――――――――――――― 巨大虚が周りを囲む中、は楽しそうに笑っていた。 そして、その少し離れたところに藍染と市丸がいる。 いつでも出ていけるように、と。 は姿勢を低くし、斬魄刀に手をかける。 「じゃ、行くぜ」 目は敵を見据えたまま、は柄をギュッと握る。 『血祭りに上げろ、夕血鬼!!!!!』 ドガァァァァァーーーーーーンッ が斬魄刀を解放し、鞘から抜くと共に、紅の衝撃波が巨大虚たちを襲った。 巨大虚が消えていく。 その数、2。 それを見、呆然としている院生たち。 「…………一気に……2匹…………凄い…」 そう言ったのは、雛森だ。 はの様子を一瞥し、治療に戻る。 は四番隊ではないので、きっちりと治すことはできないが。 「………派手にやられたものだな…」 檜佐木の傷を鬼道で治しながら、が呟く。 額からザックリ切れてしまっている。 では血を止めるくらいしかできないだろう。 戻ったら四番隊に行くのが1番良いであろう。 檜佐木を治療しているを見て、市丸が話しかける。 「ちゃんは手伝わんでえぇの?」 「…………必要ありません」 の口調には、些か不機嫌な感情が混ざっていた。 しかし、それは本当にごく僅かなものでそれを見破れる者は声を聞いている者たちの中にはいなかった。 よほど勘がいい。 それか、長いつき合いをしている者でないと無理であろう。 「えらい信用しとるんやなぁ」 市丸の言葉には何も返さなかった。 ただ、一瞥しただけである。 檜佐木や雛森たちからしたら、そのの態度のほうが驚きだった。 副隊長相手に関わらず、そこらの知り合いに接しているような感じなのである。 それも、どことなく反抗的な接し方だ。 「あの………あの人は……?」 そう藍染に聞いたのは、金髪の院生。 吉良 イヅルである。 藍染は、のほうに目を向けながら答えた。 「あの子は…… くん。最近入隊した子だよ」 「さ、最近………? 副隊長と親しいんですか?」 「いや、あの子は好き嫌いが他の者よりもはっきりとしてるだけだよ」 つまり、市丸は嫌われている、ということだ。 吉良はそれを聞いてポカンとしていた。 信じられない、と言いたげな表情でもあった。 それが普通なのかもしれないのだが。 初撃の後、の斬魄刀は形を変えた。 刀の長さは倍になり、複雑に枝分かれしている。 刀身が長くなった分斬りやすくなって、にとっては好都合だった。 『血じゃ!! 妾に血を見せよ!!!!』 の頭に直接響くその声は斬魄刀のもの。 夕血鬼のもの。 「りょーかいっ!!!!!」 の斬魄刀は何より血を好んだ。 同時には戦闘を好む。 この死神と斬魄刀の相性は抜群だった。 は巨大虚の中に、単身突っ込んで行った。 巨大虚は有無を言わず、に飛びかかってきた。 「俺が行かなくても向こうから来てくれるってのは楽かもな」 そう、不敵に笑いながらは言った。 ザンッ まずは一匹。 一番最初に向かってきた虚だ。 続いては斬った虚の頭を蹴り、違う虚の方へ方向転換した。 は斬魄刀を真っ直ぐと構え、そのまま巨大虚の頭に突き刺した。 返り血などお構いなしで、は刺した斬魄刀を勢いよく斬り上げる。 虚の頭は真っ二つに割れ、そのままサァ…と消えていった。 「やっぱ、巨大虚なだけあって斬り甲斐あるなぁ………さぁて、どんどん行くぞ!!」 一方、は丁度治療が終了したところだった。 終了したと言っても、は四番隊ではないので綺麗には傷を癒せない。 せいぜい血を止めるくらいであろう。 「………血は止まった。後は四番隊で治してもらってくれ」 「……ありがとうございました」 が、異変は起こった。 それは、が手を傷口から元も戻し、一息吐いた瞬間だった。 “……………………お前か……………………” 「?!」 ふいに聞こえた声に、は顔をガバッと上げる。 しかし、反応をしたのはだけで、他の者はへ視線を向かわせていた。 聞こえて、いないのか………? 不審に思っていた矢先、また聞こえた。 “…………お前が、例のガキか……” 『例』、の? 虚たちにとって、死神の出身地はどうでもいいことだ。 もっと、別のこと。 相変わらず、この声はにしか聞こえていない様子だった。 “知ってるぜぇ……………お前は『ヤツ』の餌(えもの)だ…” 一体何のことだ。 何が何だかまったくわからない。 私が一体何をした……? ふいには上空を見た。 そこに声の主はいた。 翼の生えた巨大虚。 霊圧を消せるようで、皆は気付いていない。 の戦闘に集中してるのもあるかもしれないが。 “上のほうじゃ、みーんな知ってる” ……………上…? 強さとかのことだろうか。 が、次の言葉での目は氷のように凍てついた。 “………数十年前、『ヤツ』から証を承けた………蒼い目をしたガキだ…!!” 何故、それを知っている……? 数十年前、『ヤツ』に襲われたことを……知っているのは何故だ。 知っているのか、『ヤツ』のことを………。 は素早く、行動に移った。 「!!!!!!」 は立ち上がって、声を張り上げる。 その声に反応して、虚を含みそちらに集中した。 は驚いて、斬魄刀を操作する手を止めてしまった。 「…………?」 は構わず続けた。 「あいつは私が殺る!!!!!」 言って、は斬魄刀を抜き、標的を見据える。 は斬魄刀を構え直し、の方を見る。 「おい、どうしたんだ…?!」 「片づけたら直ぐに戻る!」 言い終わると共に、は地を蹴る。 そして、高く跳躍し、巨大虚の方へ向かった。 その虚は、が向かって来るのを見、その場から離れ始めた。 見失うものか、とは虚から目を離すことなく疾走していた。 見失うものか。 決して、逃さない。 やっと、見つけた―――『ヤツ』への手がかりを。 ――――――――――――――― あとがき 久々です。すみません!!!! 何か意味不明で終わってしまって…… 次かその次くらいで、第1部終了かなーと…。 戦闘シーン、練習しておきます;;