十三話 ――――――――――――――― 「何をしている」 静か―――だが誰もが萎縮するような声がを我に返させた。 見れば己の背後に迫っていた虚はすでに姿を消していた。 否、消されたのだ。 目の前の人物に。 「己の力を過信でもしていたか」 「……、いえ…」 過信していたわけではない。 力量を考えず感情に任せて動いてしまった、というのが事実。 しかし、それは言わないでおいた。 傷のこと等、話さないと辻褄の合う説明が出来ないからだ。 その事は誰にも話したくはない。 傷のことを知っているのは葦鬼、卯ノ花のみ。 だが、経緯を知っているのは本人のみだ。 話さないのは、自分のことは自分で始末したいから。 そのせいで他の手を借りるなどしたくない。 「――……理由はどうあれ、お前の非が起こした結果だ」 ザンッ 言うと、白哉は風を斬るかの如く、刀を一閃させる。 その餌食となったのは、の足元にいた虚だった。 「………、っ…」 は消えていく虚を見、わずかに目を細める。 奴への導が今、消えた。 自分の力不足のせいだ。 もっと力を付けなければいけない。 手がかりは先ほどのものでないと思っていないと見た。 もしかしたら、あれよりも上のものでないと無理かもしれない。 一刻も早く、見つけださなければ……。 「向こうは終了したようだ。戻るぞ」 言われて、自分の来た方向に気を集中すれば、たちの霊圧はすでに感じられなかった。 白哉は「終了した」と言った。 おそらく、尸魂界に戻ったのだろう。 こちらに白哉が向かったことを藍染辺りが察したものと思われる。 「……隊長」 呼ぶと白哉は、静かにこちらを見た。 自分とは違う漆黒の目だ。 「何故、ここに? 藍染隊長たちもいらしていましたが…」 藍染たちが来ていたのだから、白哉の来る必要はなかったはずだ。 隊長格が何故、複数も――……。 「確かめておきたかった」 「……は?」 「この目で一度見ておきたかった。皆が騒ぐ程の80地区の主席の実力を」 はそれに何も答えず、ただ聞いていた。 「だが――……、とんだ期待外れだったな」 「………左様、でしたか…」 別に何とも思わない。 期待してほしいとも思わなかった。 自分の目的を果たすだけの実力をつければそれでいい。 だが、今の自分では到底無理だ。 この気遣いのない言葉が、自分には丁度良い。 何の偽りのないこの言葉が。 自分を再認識できるから。 「…、隊長の言葉……嫌いではありません」 冷たいけれど。 氷のように、突き放すような言い方だけれど。 優しくても間違っていては余計な事。 冷たくても正しければそれは助けになる。 自分もまた、「氷」だ。 氷は氷同士、引き合うものなのかもしれない。 そっけなく無愛想でも、何故か、嫌悪感は湧かなかった。 「正直な意見、感謝します」 「………変わっているな…」 白哉は、刀を軽く挙げ、尸魂界に続く扉を開く。 放たれた地獄蝶は2匹。 また、扉の奥へ消えていった影も2つ。 「っ!!!」 こちらに戻って早々、が息を切らせてのもとに訪れた。 前にも見たような光景だな、と思いつつは廊下を歩いていた足を止める。 「良かった…、ちゃんと会えた…」 「…、何の事だ?」 「ん、いやさ…、藍染隊長が…戻って来てないのに、戻ろうとするからさ…。 反論したら、こっちで会えるからって。自信満々で言うんだよ」 「……藍染隊長は気付いていたんだろう」 はの言葉に首を傾げる。 何に、と言いたそうな表情をしている。 「朽木隊長が、来たんだ」 「え、マジ? あぁ……それでかぁ…。俺、全っ然気付かなかった…」 こりゃ、やばいかなぁ…、とはカリカリと頭を掻く。 隊長格の霊圧に気付かなかったとは、まだまだだな。 そんなことを思いつつ、はに視線を戻す。 「ところで、怪我は?」 「無傷だ」 「それは何より」 「は?」 「俺も無傷ー。当然じゃん?」 それもそうか、とは小さく息を吐く。 そして、ちらりとを見る。 力がなければ自分は守られっぱなしだ。 そうなれば、がいつも危険のど真ん中ではないか。 どうちらにせよ、強くならなくてはいけない、ということか。 「どした、。考え事か?」 「大したことじゃない」 「悩みがあったら遠慮なく言えよな?」 「…」 「うん?」 これは最初に誓ったこと、今更だと思う。 しかし、今一度言っておきたい。 目的を忘れぬために。 「私は強くなる。もっと、上にいく」 「改まってどうした?」 「……、そう思ったから。強くなりたい、と。力がほしい」 大事なものを守るための力。 目的を果たすための力。 何にも屈しない、自分の力。 「じゃあ、俺も負けらんねぇな」 置いて行かれるわけにはいかない。 命よりも大切な、かけがえのないものを守るために。 「強くなろう」 「2人で一緒に」 「「約束だ」」 あのときの誓いを今一度。 共に目指す。 守るために。 氷は焔を。 焔は氷を――……。 永久に時を共にするために。 ――――――――――――――― あとがき 一応、第1部終了ですv 第2部に続きます。終わりませんよ!!!! ここで終わったら夢じゃないし!!! えっと、最後の一文。 生き抜くためってことです。 わ、わかりますよね…; 最後に兄様出せてよかった……って、まだ終わりじゃないですけど。 次回は数年後設定になります。 飛びます。 では、また第2部でお会いしましょー!