十五話
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「隊長。書類ですが――……」






常に静寂を保っている六番隊隊首室。






そこへやってきたのは、深い蒼の目をした六番隊隊員、 の持ってきた書類に静かに目を通しているのは、ここ六番隊の隊長、朽木 白哉。




静寂に絶えられない者はそう多くないだろう。




だが、このはこの静寂が逆に心地よく感じられていた。

もともと静かな場所を好むタイプらしい。




書類に目を通したらしい白哉が口を開く。




「問題ない。書類はこれですべてだな」


「はい。渡された分はそれで全部です」




間違ってないはずだ。

持ってくるときに、確認したのだから。

そうか、と白哉はまた別の書類を取り出した。




「……どこへでしょう」




瞬時に何をすべきなのかをは悟った。

処理はされている。

ならば、どこかの隊へ持って行け、だろう。




「十三番隊へだ」


「…わかりました」


「終わったら上がってかまわぬ」




どこかであったような光景だな、とは思いつつ一礼し、この場を後にした。





初めて六番隊へ来た日だ。



その日も十三番隊へ書類を持っていくように命じられた。

そして、己を不快に思わせる人物と会った日だ。

それは今でも変わることはない。





























十三番隊詰所。






自分の所属隊ではないのもあって、頻繁に来るわけではない。

だが、それなりに仕事関連で来ているので真っ直ぐここへ来ることができた。

数年間、護廷十三隊に所属しているので、当たり前と言えばそうだ。






「隊長は不在ですが…」




誰だ、という思いが強かった。

浮竹隊長は体が弱いので、病欠だろうと容易く想像出来たからだ。





この目の前にいる人物をは知らない。





額に垂れ下がった一束の黒髪に大きな瞳。

よりも幾分か低い背の少女。



一度見た者なら、持ち前の暗記力で大抵覚えている。

しかし、この少女は初めてだ。

確実に。






「……、新入り…か?」




言われたことに対して、これは可笑しいと自覚している。

どうやら、それよりも思ったことのほうが優先させてしまったらしい。




「え、あ、まぁ…」




少女はぎこちなく答える。

これも見たような光景だ。

あのときは逆だった気がするが……。




「そうか…、隊長が不在なのなら、副隊長はいるか?」


「副隊長なら……」













「朽木ぃー」










……―――朽…木?





……隊長と同じ名字…










「んなことで何してんだー?」





副隊長を呼んでもらおうとしたとき、タイミング良くその本人が現れた。


志波 海燕その人だった。




「お、。来てたのか」


「どうも」




は海燕に向けて軽く会釈する。

この人は好感が持てる。

ただ白い気がするから。




「で、何か用か? 朽木と話してたみたいだけど」


「……さっきも言ってたようですけど…、朽木って…」


「あぁ…! こいつ、新しく入ったうちの隊員」




海燕が朽木、と呼んでいた少女の頭にポンと手を置いた。

やはり、聞き間違いではなかった。




「朽木…ルキアです」


「… 。朽木は1つだけではないのか?」


「……は…?」


「いや、隊長と同じ名字だと思って」




だから、朽木という家がまだ他にあるのだと思ったのだ。

ルキアはキョトンとしている。




「そっか、は六番隊だったな! 朽木の兄貴が隊長やってるとこ」


「兄…?」




なるほど、兄妹がいたのか。

は素でそう思った。

兄妹と言う考えは出てこなかったようだ。




「そうか、だから名字が同じなのか」


「そういうことだ」




よく見れば、似てないこともない。

謎も解けたので、は本題に入る。




「隊長は不在とか」


「あぁ、病欠だぞ。何か用だったのか?」


「はい、書類を。病欠なら、副隊長にお願いできますか」


「書類か。ちょっと待ってな」




言って、海燕は書類を受け取って奥に入っていった。

とりあえず返事を待たずに帰るのはいけないので、そこで待っていることにした。




「あの、殿…」


「…何」




ルキアが話しかけてきた。

無視する理由もないので、そちらを見る。




「殿は、白哉兄様のいる六番隊…なんですよね?」


「そうだが…、それがどうした」


「兄様を知ってるんですよね」


「隊長だからな」




さっきから何を聞き出そうとしているのか。

異動ならにはどうすることもできない。

そんなことなら隊長に言えば良い。




はルキアが口を開くのを待った。




「殿は他の者たちとはどこか違いますね」


「……同じ人物はいないと思うが…」


「私に敬語を使わなかったのは、隊長たち以外では…殿だけです」




ルキアが少し下を俯きながら言う。

そんなことを言いたかったのか、とは少々呆れる。




「…悪いが…、私は敬意を持っている者以外に敬語を使えるほどできてはいない」


「いえ、それが嬉しいんです」




それに対し、何かを言おうとした途端、他の声が混じってきた。




「おーい」




海燕が戻ってきたのだ。

はルキアとの会話を中断し、そちらを向く。

見れば、海燕の手の中には先ほどの書類はなかった。




「書類、確かに受け取った。問題ないぞ」


「わかりました。では、私はこれで」


「おぅ」


「あの、殿っ!」




再度、ルキアに呼ばれる。

今度は顔を向けるだけだった。




「ま、また…、お話ししてくださいませんか?!」


「……あぁ、かまわない」




それだけ言って、は2人に背を向け、もと来た道を戻っていった。



海燕はニィ、と笑ってルキアを見る。




「何だぁ? 気に入ったのか?」


「気に入ったって……、良い方だと思っただけです」






「まぁ、そう居ないタイプだしなぁ。あぁいう、自分に正直なやつ」

















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あとがき

何かまた中途半端な…。
ルキアが出てきましたね。
第一部から結構飛んでます。
海燕の口調はこれで大丈夫なんだろうか…;

次はヒロイン2の話になります。