十六話
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「し、失礼します」








十一番隊詰所隊首室。





そこに居座っているのは、十一番隊隊長、更木 剣八。

その傍らにいるのは副隊長の草鹿 やちる。


そして、先ほど入ってきたのは、最近護廷十三隊に入隊してきた阿散井 恋次。

後ろ髪と共に前髪もすべて結い上げている、赤い髪が特徴的だ。



更木は、怠そうに顔を上げてそちらを見る。

不機嫌そうな更木の表情は、結構な迫力があった。




「何処の隊のやつだ」


「ご、五番隊です…」




恋次は、微妙に引きつった表情で言う。

が、この戦闘好きの隊をまとめる任を担うだけあって、そのくらいの迫力はないと困る。

やちるは傍らの小さめの机に座って、足をプラプラさせている。




「あの、ざら………」







「しっつれーしまーっす!!!!」






恋次が何かを言おうとした、正にその時。

隊首室の扉が勢いよく開けられた。




3人がそちらを見ると、そこには1人の女隊員。


薄茶の長い髪を首元で結っている、紅い瞳をした少女。

 である。




「隊長ー、茶ぁ持ってきましたー」


「てめぇ、!! 足で開けるかフツー?!」




更木の指摘した通り、はこともあろうことか扉を足で開けて入ってきたのだ。

隊首室に入る際、他では確実にありえない光景だ。

は、ケラケラ笑いながら言った。




「両手ふさがってたんスよー。足しか開いてなくて」


「盆くらい片手で持てば良いだろーが!」


「落っことしたらどうすんですか」




は最もらしい言い訳をして、湯飲みを机の上に置く。

更木は渋い顔をして、それを手に取り口に付ける。

が、次の瞬間、更木はダンッと湯飲みを机に勢いよく置いた。




「温い!! …、てめぇ…いつになったら茶の入れ方を覚えんだ!!!」


「隊長の舌が火傷したら大変だと思いまして」


「ちゃん、棒読みだよー」


「フツー熱いやつ入れてくんだろ?!」


「誰が熱いのが普通だなんて言ったんスか。副隊長だって温い方がいいですよねー?」


「うんっ!」


「お前らなぁっ!!!」




この更木に対し、こうも屁理屈を並べられるのはこの、他はありえないだろう。

十三番隊の中では特にだ。

一角や弓親、やちるはまた別かも知れない。

だが、女隊員でここまで言う者はいないであろう。




「ていうか、客人待ってますけどー」




がくい、と親指で自分の背後を指す。

そこには3人のやり取りを呆然と傍観していた恋次が突っ立っていた。

更木は、頭をガリガリ掻きながら息を吐く。




「あー、悪かったな。で、何の用だ」


「つーか、持ってるもんからして、書類届けに来たんじゃないんスか」




が、恋次の手の中にある書類を見つけて言う。

すると、更木は渋い顔をした。

その理由は彼の机を見れば一目瞭然である。

机の上に、書類が遠慮なく積み重ねられていたのだ。




「溜めるのが悪いんスよー。いっつも刀握ってるからぁ」


「大丈夫だよっ!あたしも手伝うからっ」




やちるはそう言いつつも、書類には手を出さず、にこにこ笑ってるだけだったりする。

は横目で恋次がその場から動いていないのを盗み見る。

正しくは、どう動けば良いのやらわからないのであろう。

は短く息を吐いて、そちらに素早く歩み寄る。




「…とにかく」


「あ、」




は恋次の手の中から書類を自然に奪い取り、更木の仕事机の上に置く。

突然のことで恋次は上手く反応できてない。




「ちゃっちゃと終わらせてくださいね!」


「な、おい!!」


「じゃ、俺は仕事戻りまーす! ではっ!」




ぐいぐいと恋次の背を押しながらは、にこやかに笑いながら扉のほうへ行く。

そして、更木の制止も聞かず、隊首室から出ていってしまった。




残された更木は、舌打ちしながら書類を片し始める。

真面目にやればできるのだ。

この男も。




























「悪かったなー、ホント。今、隊長機嫌悪いからさ」




詰所の外まで来た、は恋次に向かって言った。

書類が溜まっていたのもあって、丁度更木は機嫌が悪かった。




「いつもはあんなにカリカリしてるわけじゃねぇから。運悪かったなぁ、お前。

 ま、仏頂面はいっつもだけどな!」




恋次の肩をバシバシ叩きながら、言う。

一方の恋次は、やはり反応の仕方が分からずボケッとしていた。




「お前だけ特別ってわけじゃねぇし…、気を落とすことはねぇからな」


「……なぁ、あんた…」


「ん?」




恋次が口を開く。

は何だろうかと、それに答える。




「あんた、…あの時の人だよな?」


「……あの時?俺、お前と会ったことあったっけ??」




は頭の上にクエスチョンマークを浮かべる。

あの時と言われても、どの時だか理解できていない様子だ。




「あぁ、あの……、5年くらい前に巨大虚が沢山出てきて、

 藍染隊長と市丸副隊長たちとあんたともう1人死神が…」


「藍染隊長……、ってあんときか? あー、確かに他にもいたような…いなかったような…」


「覚えて、ないか……、やっぱ」




記憶は曖昧のようだ。

だが、5年ほど前とは言え、恋次のこの赤髪は印象に残るであろう。

大抵の者がそうだったからだ。

こういう赤髪はそういない。




「悪いな。俺さ、基本的に強いやつしか覚えねぇ質だから」




ははっ、と笑いながらは言った。

は強者にしか興味がない。

逆を言えば、弱者にはまったく興味がないのだ。





ただ一名を除いては。





恋次はそれを聞いて、どこからかモヤ…、としたものが体の奥底から湧き出るような感じがした。

それが何なのか、本人はわかっていない。




「あの時すでに、あんたは俺よりも数倍強かった」


「そりゃどうも。一応、弱くはないつもりだから」


「強かったら、あんたは俺を覚えるのか?」




一体何を言ってるのだろうか。

恋次は心底そう思った。

は、んー…と小さく唸りながら口を開いた。




「あぁ、強ければな。何で、んなこと聞くんだ?」


「…何となく…」


「…はぁ?」




まさかそう来るとは思っていなかったらしい。

自分でも随分と間抜けな声が出た、と奏は思った。




「俺の名は、阿散井 恋次」


「あ、あぁ…、阿散井ね」




自身、一体どういう反応を取れば良いのか分からず、しどろもどろな返事を返す。




「俺は絶対、あんたの頭に俺の存在を刻ませてやる」


「それって…何? 目標とか?」


「まぁ、そんなもん」




言った恋次も曖昧だった。

この何とも言えない、モヤモヤ感。

一体何という名の感情だか、彼はまだ分かっていなかった。




「じゃー、そういうことだから覚えとけ」


「覚えられたらな」




そういう、の言葉を聞いて恋次は五番隊詰所の方向へ走って戻っていった。

そこに1人残されたはカリカリと頭を掻きつつ、ぼやく。




「なんか……、変なやつ…だったなぁ…」







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あとがき

変な話だったなぁ……(何)
恋次出しました!! よし、ヒロイン2も出せた! 十一番隊も出せた!
ヒロイン2書くの楽しいです(笑)
恋次の最後のほうのセリフが告白セリフみたいだ(爆)
ギャグっぽく書いたんですが…、微妙ですね…。
終わり方とかホントに微妙だ。
自然に終われるように精進、精進…。