十七話
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「……、ということがあったわけよ」








瀞霊廷内にある甘味屋。





仕事が終了したのち、が雑談していた。

がたった今、先日恋次と会ったときのことを話し終えたところだ。




「変わった奴だな」


「だろ?名前何つったかな……あー…あば……」


「…変な名前」


「何かもう変な眉毛しか覚えてない」


「何だそれは…」




は呆れ気味に言い、更に続ける。




「一発で覚えると言ったら…、かなりの実力者じゃないと無理だったな。お前は」




は強者なら興味を持ち、覚えようという気になるらしい。

が、そうでないものには興味が湧かない。

よって覚えるのにかなりの時間を要するのだ。




「隊長格はすぐ覚えたしな!もちろんは一発で覚えたぞ」


「それは私もだが…」


「は記憶力良いだろ。昔っから」




は注文していた餡蜜を口に運びながら言った。




「普通じゃないか?」


「いーや。の記憶力は良すぎ。だって、1回すれ違っただけの相手のことだって覚えてたじゃん」







これは真央霊術院に通っていたときのエピソードだったりする。

知りもしない院生と一度すれ違っただけで、もう一度会うといつ会ったのかちゃんと覚えているのだ。

授業中のときにも、2,3年前に聞いた言葉も覚えている。




「あれって2年前の先生の言ったのと同じだよな」




と、聞いたこともある。

としては、まったく覚えてなかったので返答しようにも出来なかった。

戦闘技術に関しては、もすぐに身についていったのだが、

はそれと同様、様々な知識をもの凄いスピードで取り込んでいったのだ。

もはや、凄いとしか言いようがない。








「ぜぇーーったい普通じゃない」




は言いきった。

は言い切るに苦笑して見せる。




「そういえば…」


「どした?」


「お前の言っていた…変な眉毛とは……」




は疑問符を浮かべながらを見ている。

は、すっと左側を指差して言う。




「あいつのことか?」




はスプーンを口にくわえたまま、の示したほうを見る。

するとそこには印象に残りやすい赤髪と眉に繋がる派手な刺青。

傍らには黒髪の少女。











「あ」











はそれを見たと同時にどこか力の抜けた声を発する。

名前は思い出せないが、外見はすぐに記憶の中から引っ張り出されたようだ。




「確かに印象的な外見だな」




納得しながらは言った。

あれは一度見れば確かに忘れることはないだろうとは思う。

次に視界に入ったのは、先刻出会った少女。

朽木ルキア、と言ったか。

とまた話したいと望んだ変わった少女だと記憶している。




「偶然とは重なるものなのだな」




がそうポツリと漏らすと、ルキアと目が合った。

向こうは驚いているようだ。

こんなところで会うとは思っていなかったのだろう。

無論、もそうなのだが、彼女ほど驚いてはいなかった。



ルキアは共に来たと思われる赤髪の連れの着物の裾を引く。

するとその男とも目が合った。






























「あー、ホントだ。言われてみれば似てるかも」




はルキアの顔をじぃっと見る。



別に追い払う理由もないので、2人はルキアと恋次と同席にすることにした。

丁度たちの座っていたところが4人席だったのだ。

は向かい側だったのを移動し、の隣へ。

そして、ルキアは、恋次はの向かい側に腰を降ろしている。




「妹居たんだなぁ、朽木隊長」


「私も知ったのは先刻だ」




は手元の羊羹を一口サイズに切り分けながら言う。




「…それで、お前の名前は何と言うんだ?」




からは眉毛がどうのしか聞いていないので、名前に関してはは知らないのだ。

それに恋次は慌てたように名乗る。




「あ、阿散井 恋次ッス」


「……まぁ、…確かにには多少覚えにくい名前かもしれんな」




は1人納得する。

珍しい読み方をするので、ある意味覚えやすいかもしれないがとも思った。

だが、微妙にややこしいところもあるのでやはりには難しいか、と思い直す。

何せは戦闘に関係のないことに関しては、かなりと言って良いほど疎いのだから。




「だろぉ?あばら屋だか、あばら骨だかよくわかんねぇ名前…」


「阿散井です」


「途中までは合ってるんだがな」




羊羹を口に運びながらは言った。




「だが、中途半端に覚えるのは良いとは思わない」


「じゃあ、どうすりゃ良いんだよ」


「中途半端に覚えるなら覚えないほうがマシだ。何事に対しても、だ。

 中途半端な知識だと変に解釈してしまい、命の危険に晒されるということもある。

 まぁ…名前程度ならどっちでもいい気もするがな」


「おぉ…珍しい。のセリフが長い」


「…そうか?」


「おぅ」




は驚き半分、嬉しそうな色を顔に浮かべる。

すると今まで会話を傍観していたルキアが口を開いた。




「あ、あの……殿…」


「…どうした」


「殿は…、六番隊でしたよね?兄様が隊長をしているという…」


「あぁ、そうだが…」




十三番隊詰所へ行ったときに、海燕がそう言っていたのを覚えていたのだろうか。

ルキアは言いにくそうしている。




「あ、あの……その六番隊では……兄様は…どのような感じですか…?」


「…自分の兄のことなら私よりもお前のほうが良く知っていると思うが?」




そうが言うと、ルキアは顔を下に俯ける。

は、軽く首を傾げる。




「私よりも隊長とは共にいる時間は長いと思ったのだが……違うのか?」


「私は……養子、なので…」


「……?」




は自然な動作でのほうを向く。

も同じようにこちらを向いたので、2人は顔を見合わせる。

の頭の上には疑問符が浮かんでいるかのように見える。

再びはルキアのほうを見た。




「なんだ?その、ヨウシというのは」


「……え?」


「私はそのヨウシという言葉を知らない」




それがルキアにとってかなり意外だったらしく、目を軽く見開いている。

恋次も同様だった。

そんなに驚くことか、とは僅かに眉を顰める。




「んで、そのヨウシとやらは一体何のことなんだ?」




も問うてきた。

それに答えたのは恋次。




「よ、養子って言うのは……、血の繋がってない者を家族にする…っていうか…。

 籍は入れますけど、血は繋がってない…もとは赤の他人だった関係ッスかね」


「なんかよくわかんねぇけど、血が繋がってねぇんだな?」


「そうッスね」




恋次の説明には何とか理解できているようだ。

も納得できている様子である。




「最近なのか?その…朽木家に来たのは」


「…はい」


「では、知らないのも納得がいくな」




は少し考え込み、脳内を整理する。

それに大して時間は要さなかった。




「…隊長は、尊敬に値する方だ」




は言葉を濁すことなくそう言った。

ルキアは一瞬静止したように見えたが、ゆっくりと口を開く。




「どの辺が…とか…聞いてもかまいませんか?」


「言うことに嘘がなく完結。これは私としては有り難い。下手に解釈しなくて済むしな」




人に寄っては、きつい言葉に感じるかもしれない。

だが、には単刀直入で言ってくれたほうが有り難いらしい。




「隊長としての雰囲気も良いと思う。取り乱すこともしない。

 安心して着いていける隊長だと私は思う。これで、満足か?」


「は、はい…ありがとうございます…!」




ルキアは座ったまま、ぺこりと頭を下げた。




「はぁ…、健気っつーか何つーか…良い子だなぁ」


「…そうッスかね…」


「そーだよ。兄妹とか良くわかんねぇけど」




はスプーンを持て余しながら言う。

そして、恋次の背をバンと叩いては問題発言をする。




「お前もこんな良い彼女がいて幸せだなぁ!」




そのセリフに静止した者は約2名。

次の瞬間にそれは爆発した。

















「な、何言ってんすか!!!!!!!!!!!」





「違います!!断じて違います!!!!!!!!」
















恋次とルキアは共に否定した。

は、きょとんとしている。




「あれ…、違ぇーの?」












「「違います!!!!!」」














彼らの否定のしように、は呆気にとられる。





そして、傍らにはその様子を面白そうに眺めているの姿があった。







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あとがき

久々のくせに、無理矢理な終わらせ方ですみません;
ルキアと恋次ばっかでしたね;
次辺りにまた兄様出せたらな、と思います。
甘味屋での出来事でした。甘味処のほうが良かったのかな…?
こういう絡みもまたやろうと思います。
今回はヒロイン1に沢山しゃべらせることができました♪